離婚・男女問題
離婚は交渉では原則受任しないことにしています。
太田「たまに調停なんて大げさだから、交渉でどうにかして欲しいという人がいるのですが、ほとんど無理です。」
Lちゃん「なぜですか？」
太田「交渉でどうにかなるなら、弁護士に依頼する前に当事者間で何とかなってます。」
Lちゃん「そんなものですか（笑）」
太田「経験則上そうなのよ。しかし、なぜか年配の弁護士ほど調停しないで交渉でまとめようとやっきになるんですよ。あれは何なんだ！」
Lちゃん「何なんですかねー。調停だと長時間拘束されるから？」
太田「で、年配の先生からお電話いただいても、うちの電話が勝手に切れる（笑）」
Lちゃん「えぇ、何だか分からないけど切れますね。」
太田「ほとんどの弁護士の場合は切れないのですが、お年寄りの先生の電話はなぜか切れる確率が高いんです。まるで私がガチャ切りしたみたいで困るんですが…」
Lちゃん「（笑）。交渉と比べた場合の調停のメリットって何ですか？」
太田「まず、第三者たる調停委員が入りますので、比較的客観性が保たれます。お年寄りの先生のごく一部は、独善的な主張を『普通は●●だ！』『××でないのはおかしい‼︎』と一般化してきます。聞き流すつもりでハイハイ言ってると、気がついたらとんでもないところに着地する（笑）。そこから軌道修正するのは大変ですが、調停だと調停委員が向こうの主張をまとめてくれますので、まとめられた主張に対して反論していけばいい。楽です、その方が。」
Lちゃん「聞き流すのは失礼ですよ。」
太田「聞く意味のある話なら聞くのですが…いちいち細部にツッコミ入れてたら収拾つかなくなるし、どうしたらいいの？」
Lちゃん「私に聞かれても…」
太田「で、二つめ。調停がまとまれば調停調書ができます。調停調書は判決と同じ効果があるので、例えば養育費の支払いが滞ったら、そのまま強制執行できる。これが交渉だと、普通の紙に書いた離婚協議書しか作成されないので、すぐに執行できない。じゃあ公正証書にするか、となっても、相手が同意していないと作成できない。加えて公証役場に行かないとね。」
Lちゃん「なるほど。最後に。離婚はなぜ交渉でまとまりにくいんですかね？ 」
太田「これは推測ですが、まず第１に決めることがたくさんあるから。これが不貞慰謝料の話だと、払うか払わないか、払うとしたらいくらか、だけですからね。離婚は離婚するかどうかの他に、親権や養育費、慰謝料や面会交流の話もくっついてくるので複雑です。」
Lちゃん「ほうほう。私もカレー弁当より松花堂弁当の方が食べにくいし食べるのが遅くなります。おかずがたくさんあって迷う…」
太田「妙な例えをしない（笑）。あとは感情面ですよねー。離婚となると双方積年の思いが…ですね。」
Lちゃん「夫は何年、何十年も一緒にいますが、夫の不倫相手なんて探偵の調査結果で顔を見るくらいですしね。」
太田「そうなのよ。離婚と比べれば圧倒的に不貞慰謝料の方が交渉でまとまりやすい。」
Lちゃん「そうですか。」
太田「だもんで、私、離婚交渉の依頼が来たら、めちゃくちゃまとまらない可能性について念押ししますよ。どうしても、というなら受けますが。念押しされるのが嫌なら他の事務所に行ってもらうしかない。」
Lちゃん「で、他の事務所に交渉で依頼しても、結局まとまらなくて調停…」
太田「弁護士の能力の問題じゃないんです。弁護士に頼まなきゃいけない離婚はそういうものなんですよ！」