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コラム
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離婚・男女問題

「枕営業」と慰謝料請求

ネット上で比較的取り上げられたニュースなのでご存知の方も多いかと思いますが、客を確保するために性交渉したクラブママの「枕営業」が、客の妻に対する不法行為にはならないとする判断が東京地裁でなされていました。

 

これは、東京地裁平成26414日判決(判例タイムズ1411312頁)なのですが、まず驚いたのが前提として「ソープランドに勤務する女性のような売春婦が対価を得て妻のある顧客と性交渉を行った場合には、当該性交渉は当該顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず、何ら婚姻共同生活の平和を害するものではない」としている点です。しかも、「たとえそれが長年にわたり頻回に行われ、そのことを知った妻が不快感や嫌悪感を抱いたとしても」などと念を押しています。

 

普段、「風俗通いは離婚原因になるか?」と質問を受けたら、私などは「なりますね~」と即答していましたが(性交渉のある場合には民法77011号の不貞行為にあたり、ない場合は頻度などにもよりますが5号の婚姻を継続し難い重大な事由にあたると考えます)、この判決によるとそのような考え方は間違いのようです・・・。本件はクラブママに対する慰謝料請求事案ですが、もし夫に対する離婚請求事案だったとしても、原告の請求は棄却されそうです。

 

ネットの記事では、この判決について「クラブのママによる枕営業」の部分が大きくクローズアップされている気もしますが(確かに、判決文に「枕営業」という文字が出てくる点もびっくりします)、上記の前提部分からして非常に違和感があります。

また、風俗店従業員とクラブのママやホステスとで、結論が違わないようなことを書いているのも相当違和感があります。やはり、後者のほうが自由恋愛に近いといえるので、「より悪い」のではないでしょうか。

 しかも、本件では約7年間も関係が続いていたというのですから、原告は相当に精神的苦痛を被っているといえます。

夫婦問題に関する事件については、他の事件より裁判官個人の価値観が判決を大きく左右する傾向があると感じています。ですから、絶対にこうなる、ということはいえないのですが、原告が控訴していたら結論が違っていた可能性は十分にあります。記事の中で他の先生がコメントしているように、「特殊」な判決だと私も思います。