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離婚・男女問題

不貞慰謝料は不貞された本人以外も請求できる?

Lちゃん「いやー、お盆前のある芸能人のスクープを見て思ったんですけど、例えば妻の不貞で夫が自殺するでしょう? その場合…あ、相続人はまず妻だ。妻が不貞相手に相続した夫の慰謝料を請求できるんですか?」
 
太田「だねー。慰謝料も相続するから理屈としては成り立つけど、実際には聞いたことがない。」
 
Lちゃん「成人した子がお母さんの不倫相手を訴える、ならまだ分かるんですけど。」
 
太田「それも聞かないよね。法的には可能だけどさ。配偶者ではなく子が不貞に気づくとか、さらに証拠集めするとか、ハードル高い。」
 
Lちゃん「そうしたら…例の芸能人の件は、自殺した夫の兄弟が怒ってるんですよね? 報道からするに夫のお母さんはご健在なので兄弟には相続権がなく…」
 
太田「あー、お母さんでも聞いたことはないけど、請求するケースが今後ありそうね。ただし夫婦の子供がいない場合に夫が亡くなった場合、夫の親の相続割合は3分の1だ。わざわざ裁判をやるメリットがあるかどうか。」
 
Lちゃん「お母さんですら3分の1ですか、ちなみにその場合、息子が自殺したっていうので慰謝料全体の金額は増えませんかね?」
 
太田「不貞された配偶者が自殺未遂を図った事案で400万円の慰謝料が認められた下級審裁判例があるし、通常より高くはなるだろうね。だけど、1000万とかにはならない。」
 
Lちゃん「じゃあ夫の兄弟は民法711条の類推適用で遺族固有の慰謝料を請求できないですか?」
 
太田「明らかな無理筋だけど、Lちゃん、いつの間に711条も711条の類推適用も勉強したのか(笑)」
 
Lちゃん「休みの間にパラパラと交通事故の本を見たらそのようなことが書いてあったので。」
 
 
*民法711条
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
 
 
太田「Lちゃん、不貞と交通事故は違うよ。交通事故は物理的に被害者を死なせるけど、不貞はそうじゃない。他人の生命を侵害したとまではいえないよ。」
 
Lちゃん「でも、労働者が過労で自殺したら、その相続人は慰謝料どころか逸失利益も請求できて、かつ相続人以外も711条によって遺族固有の慰謝料が認められる可能性があるんでしょう?」
 
太田「過労と自殺との因果関係が認められたらね。」
 
Lちゃん「不貞と自殺との因果関係が認められたりしないんですか?」
 
太田「いやーそれはきつい。仮に因果関係があったら日本は今より自殺者が激増しますよ! DVと自殺との因果関係を認めた下級審裁判例はあるみたいですけど、不貞と自殺は無理があるでしょう。」
 
Lちゃん「じゃあ、自殺した夫の兄弟は妻の不貞相手にはどうやっても慰謝料請求できないわけですか。」
 
太田「相続権がないなら請求できないですね。」
 
Lちゃん「だからといって、週刊誌にタレこむと名誉棄損で逆に慰謝料請求されかねないでしょう? 理不尽だなぁ。」
 
太田「まあ、そもそも不貞慰謝料自体の相場が低いじゃないですか。100〜300万円。しかも兄弟なんか外野みたいなものだし。」
 
Lちゃん「外野? 親族が1人亡くなっていても??  例えばうちの姉がこんなことで死んだら、私は姉の旦那とその不貞相手を絶対に許しませんよ。」
 
太田「気持ちは分かるんだが、やっぱり法的にどうにかするのは難しい。不貞と自殺との因果関係があるとはいえないからね。いつか天罰が当たると思って見てるしかないよ。」
 
Lちゃん「じゃあ姉に『強く生きろ』ってメールしておきます。」
 
太田「あれ、Lちゃんのお姉さん、本当に旦那さんが浮気してたんですか?」
 
Lちゃん「いや、そんな話はないんですが、別のことでひどく落ち込んでまして…」
 
太田「何だろう、別のことって。」
 
Lちゃん「この間、親戚一同が本家に集まったじゃないですか? はとこ、つまりうちの母のいとこの息子がまだ小6なんですけど、すごく賢くて。来年には広島大学附属中学と修道を受験するらしいんですよね。」
 
太田「ふむ。何となく話が見えてきましたが…」
 
Lちゃん「多分先生の想像以上です。はとこは塾の夏期講習も大変なのに、学校の読書感想文も書かなきゃいけないので、そんなん親戚の家で読んでやる!ってバーッと大人たちの喋ってる部屋の隣の部屋で読書してまして。」
 
太田「ムダ時間の有効な使い方ですね。賢そう。」
 
Lちゃん「そこへ、本家長男ウォッチングには関心があるけど、はるみ叔母さんの形見分けにはちっとも関心のない姉が邪魔をしに行ったんですよ。てっちゃん、何読んどるん? ポケモンの本??って。」
 
太田「100パーセント思った通りの展開(笑)」
 
Lちゃん「いいや、その本が九鬼周造の『「いき」の構造』だったので大変なことに…」
 
太田「あ、それは想像を上回る。哲学の名著じゃないですか! お姉さんが三行革命状態になっても仕方ない。普通の人でも大変だから。そんな本の読書感想文を書かれても先生が困るだろう。」
 
*産業革命ならぬL姉の三行革命について
http://blog.livedoor.jp/lindenlaw/archives/71858539.html
 
 
Lちゃん「いや、読んで途中でギブアップするのは仕方ないですよ、後で私もちらっと見せてもらったら頭痛がしまして。変な図形も出てきますしね。著者名、タイトル名も写メを撮影して先生に聞こうと思ってきたので何とか覚えてるんです。
で、うちの姉は読む前の段階でつまづいてまして…」
 
太田「待って、読む前のどこでつまづくんですか(笑)」
 
Lちゃん「姉はこともあろうに表紙を見て、『てっちゃん、Hな小説読んどるん? いやらしいのう♡』って言ってしまったんですよ。岩波文庫がHなわけないのに…」
 
太田「岩波文庫のどこをどう見たらポルノ小説に見えるんですか(笑)」
 
Lちゃん「タイトルが『イク』の構造、みたいに見えたらしいです。しかも著者名を見て、団鬼六と空目したらしく…」
 
太田「鬼しか合ってない!」
 
Lちゃん「で、それを聞いたときのてっちゃんがチベットスナギツネみたいな表情で…その後黙って本文を見せてきたらしく。自分の間違いに気づいたとき、姉は恥ずかしくて死にたくなったそうです。」
 
太田「L姉ドンマイ!」
 
Lちゃん「それ以降、私が小学生よりずっとバカだなんてうちの子は将来どうなるんじゃろう、子どもが小学生になったら勉強を教えられないんじゃないか、子どもの成績に影響したらどうしよう、いーや子どもの方が賢くなっててっちゃんみたいな目で見てくるのか、それとも家庭内で超バカ扱いされるのか、ウンタラカンタラ…と言って悩んでるんです。」
 
太田「あ、三行以上悩んでるんですね。」
 
Lちゃん「10行くらいは悩んでます。おバカに見えますが子どもの頃から悩みの多い人なんですよ。母の小言に悩み、地図が読めずに悩み、視界に自分の鼻の頭が入ることに悩み…。」
 
太田「それは旦那さんが不倫したら100行以上悩むわな。」
 
Lちゃん「でしょう? 姉は旦那LOVEですから。でも姉が三行革命なので私は短文でしか相談の返事ができませんからね。そのとき私はどうなぐさめるのが正しいですか?」
 
太田「三行革命のくせに本家長男の句読点なしの文章は解読できるL姉の頭の構造に私は悩みそう。」


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