離婚・男女問題
親権と監護権の分離。
Lちゃん「あれ? 離婚時に親権者と監護権者をわざわざ分離することってあるんですね。」
太田「ありますね、多くはないですが。例えば、親権者はお父さん、監護権者はお母さん、としておくと、まず親権に関する深刻な対立は避けられるわけですよ。」
Lちゃん「他にメリットはありますか?」
太田「どうだろうなあ…お母さんに子どもを育てる能力はあるけど財産を管理する能力がない場合に親権者と監護権者を分けるってのはありかも。でも、デメリットがあるよ。」
Lちゃん「デメリットはなんですか?」
太田「まず、親権は財産管理権と身上監護権、法定代理権の3つの権限がセットになったものなんだ。この中の身上監護権を取り出してもう一方の親に与えるというのが、俗にいう、親権者と監護権者を分けるという状態なのね。」
Lちゃん「ふむふむ。先の、お父さんが親権者、お母さんが監護権者の場合、例えば子どもが法律行為をしようとすると、お父さんが代理人になるわけですね。」
太田「子どもがバイトするときに親権者の署名・押印が必要ですよ、ってなった場合にね、仮にお父さんが北海道、お母さんが沖縄に住んでたらどうしますか?」
Lちゃん「沖縄から書類を郵送…時間がかかりますね。」
太田「しかも、お母さんはバイトに賛成してるけど、お父さんは反対してたら?」
Lちゃん「お母さんが電話でお父さんを説得、ですか…何だか大変そうです。」
太田「アルバイトくらいならいいんだけど、子どもが怪我や病気で手術が必要になったらどうしますか?」
Lちゃん「緊急の手術は親権者の同意は(意識不明の成人と同じで)要らないようですが(注)、緊急性のない手術の場合には、やっぱり親権者であるお父さんの同意が必要になりますよね。お母さん、お父さんに説明して同意書にサインもらわないといけないのか…」
太田「それだけじゃなくて、お父さんには北海道から飛行機で来てもらわないといけないかもしれないですね。医師も説明しないといけないから。」
Lちゃん「それ、お母さんだけじゃなくて、お父さんも大変じゃないですか!」
太田「てなわけで、両親が離れて暮らしてる場合や、両親の信頼関係が完全に破綻している場合なんかには、親権者と監護権者を分離することは全くおすすめしません。」
Lちゃん「親権でこじれないように、ってんで親権者と監護権者を分けると後で双方が大変ですね。よく分かりました。」
太田「なので、家裁でもあまりおすすめしてないようです。他にも、上の例だとお母さんと子どもの苗字が原則違ってしまうといったこともあります。もし、これから離婚する人で、親権者と監護権者を分けようと思う人はよく考えてくださいね!」
注:以下の文献を参考にしました(かなり興味深い)↓
http://www.hokkaido.med.or.jp/cmsdesigner/dlfile.php?entryname=medical_report&entryid=00002&fileid=00000441&/1148-19.pdf&disp=inline
☆一般的には分けない方がいいです☆
リンデン法律事務所の離婚サイト↓