太田「この間、依頼者の方に、『モラハラってどんなのですか？』って聞かれて、パッと答えられなくて悔しかったんで、自分で考察してみた。」

 

Lちゃん「暴力でない嫌がらせがモラハラって理解ですが…」

 

太田「うん、安冨歩って経済学者が『身体的ではなく、精神的・情緒的な次元を通じて行われる継続的ないじめ、いやがらせ、つきまといなどの虐待』って定義してて、これが一番わかりやすい定義だと思うけど、依頼者の方がもう少し具体的な回答を求めてた気がするので。」

 

Lちゃん「色んなパターンがありますからね。でも、話し合いにならないという共通点はあります。」

 

太田「そうそう、話し合いができないというのは間違いなくて、だから協議離婚できなくて、うちの事務所に相談に来られるのよ。しかし、何で話し合いにならないんだろう？」

 

Lちゃん「うーん、話し合いの姿勢がないからですか？」

 

太田「なぜその話し合いの姿勢がないのかなーって。」

 

Lちゃん「難しいですよ、それは！」

 

太田「思うに、話し合いってある程度対等な立場で意見が言えるのが前提じゃない？ けどさ、モラハラの人って、配偶者と対等な立場にあると思ってないのよ。」

 

Lちゃん「そうですか。昔、告白してきた男性に、『どこに出しても恥ずかしくない女性にしてあげるね』って上から目線で言われたことがありますけど…」

 

太田「どこに出しても恥ずかしいモラハラ男です（笑）。」

 

Lちゃん「さすがにおかしい人だと思ってお断りしましたけど、普通は初っ端からこんなこと言わなくて、交際開始後しばらくしてとか、結婚後に謎の上から目線が出てくるんですよね。」

 

太田「誰の稼ぎで飯が食えてるんだとか。」

 

Lちゃん「お前に俺みたいに稼げるわけがない、しょうもないパートくらいしかないだろ、とか。」

 

太田「俺のような男と付き合えて(結婚できて)お前は幸せな女だ、ってのも聞いたことあります。」

 

Lちゃん「それ、笑いを取ろうとして言ってるんじゃないなら、かなりやばいですよ?!」

 

太田「多分ね、傍から一言ずつ聞くと『何じゃそりゃ』ってのばっかりなんだけど、一緒にいてずっと聞かされると、だんだん洗脳されてくるんだと思います。でも、内心つらいから、精神的に不調になったり、病気になったり。」

 

Lちゃん「何で上から目線なモラハラ男が爆誕しちゃうのか…」

 

太田「私、その辺に持論がありまして。男性は男性だというだけで偉いって思ってるのよ。例外なく。」

 

Lちゃん「ありゃ、じゃあ男性はみんなモラハラじゃないですか！」

 

太田「でもね、それをそのまま言動に出す人ばかりではないでしょう、って話で。男性はモラハラ夫になりやすいから、各人が気をつけないといけないのね。気をつけてる人はモラハラしない。」

 

Lちゃん「まだまだ残る男尊女卑的風潮も原因ですかね……」

 

太田「と、私は思ってる。あとは母親による甘やかし。なんだろうね、母親って娘には辛く当たりがちなのに、息子にはデレデレなのよ(もちろん個人差はあります)。ま、モラハラ夫の発生原因は色々だと思うんですけど、その悪影響だけははっきりしてて、いつの間にか洗脳されちゃうんですよ。モラハラ夫は自分が正しいと常に主張するので、妻は自分が間違ってて悪いような気がしてくるんです。」

 

Lちゃん「モラハラ夫から逃げるにはどうしたらいいんですかね。」

 

太田「やっぱりね、まずは他の人の意見を聞いてみたほうがいいですよ。家族・親族・友達、誰でもいいから信頼できる第三者に話して聞いてみましょ！」

 

Lちゃん「けど、第三者と連絡を断つように強要するモラハラ夫もいると聞きます。」

 

太田「もうそれ自体がモラハラです。あなたが大切にしている家族・親族や友人の悪口を言いまくって関係を断絶させようとしてたら、それはモラハラを疑うべきです。」

 

Lちゃん「結局、モラハラ夫は妻を独占して、自分の言うことを聞かせたいんですよね。」

 

太田「まさにそう。あなたが苦痛じゃないなら私なんかがとやかく言う問題ではないですが、苦痛を感じるなら、まずは第三者に相談。そして可能なら早く別居しましょう！ 離婚するかしないかを考えるのはその後でいいんです。別居することで洗脳が解けて冷静に考えられるようになります。」

 

Lちゃん「なんか、DV夫から逃げる方法と同じですね。」

 

太田「そうですよ！ 暴力をふるうかふるわないかの違いだから、似たようなもんです。夫に内緒で誰かに相談、そして素早く別居！ その後で離婚については弁護士に相談。これが王道です。」



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