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コラム
Column
離婚・男女問題

未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求

※未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求は認められないのが原則ですが、例外的に認められることもあります。最高裁判例を見てみましょう。
 
Lちゃん「有責配偶者からの離婚請求は認められないのが原則ですよね。」
 
太田「そうそう。この辺は当ブログをご覧の皆様はご存知と思うので割愛します。ただ、ずっと認められないわけではなくて、最高裁判例で有責配偶者からの離婚請求が認められる基準が示されています。昭和62年9月2日の大法廷判決の基準ですね。すなわち、①夫婦の年齢や同居期間と対比して相当長期間別居し、②未成熟子がいなくて、③相手方配偶者が離婚によつて精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のないとき、には、有責配偶者からの離婚請求も認められます。」
 
 
Lちゃん「この判例の事案ですと、別居から36年経ってて、子どもも当然成人しているということで、これを見ると気が遠くなるような期間別居しなくてはいけないように思えます。」
 
太田「そうなんですけど、例外的に未成熟子がいても有責配偶者からの離婚請求が認められている判例があるのを知ってましたか?」
 
Lちゃん「え? そうなんですか??」
 
太田「最高裁第三小法廷平成6年2月8日判決ですね。ちょっと見てみましょう。」
 
 
Lちゃん「これを見ると、事案としては子どもが4人いて、うち3人は成人、一番下の子が高2なんですね。で、別居期間は約14年ですか。」
 
太田「途中で婚姻費用分担請求の審判が出ているんですね。その審判の額よりは少ないけれども、夫は毎月15万円、7月と12月は40万円ずつ妻に送金している。で、夫は離婚に伴う給付として、700万円を支払うという提案をしています。」
 
Lちゃん「比較的きちんと生活費が支払われていて、かつ離婚に伴って解決金を支払うと言っているのですね。」
 
太田「なので、最高裁も、『有責配偶者からされた離婚請求で、 その間に未成熟の子がいる場合でも、ただその一事をもって右請求を排斥すべきも のではなく、前記の事情を総合的に考慮して右請求が信義誠実の原則に反するとはいえないときには、右請求を認容することができると解するのが相当』とし、本件については、結論として、『未成熟子である〇の存在が本件請求の妨げになるということもできない』として有責配偶者からの離婚請求を認めています。」
 
Lちゃん「でも、相当レアケースですよね。」
 
太田「4人中3人の子が成人してて、残りの子どもも高2で、多額の婚姻費用を支払ってて、離婚に伴う財産的給付がかなり期待できる事案・・・あとはもう有責配偶者に内縁の妻がいるというのも事情として考慮されているのでしょうか。基本的には、有責配偶者からの離婚請求は認められないので、調停の段階で大幅に離婚の条件を譲る、という戦略をとることになるのですが、この最高裁判例のような事案だと訴訟に持ち込んでももしかしたら・・・という気はします。」
 
Lちゃん「でも最高裁まで行きたくないですよ、何年裁判にかかるんですか。原審の事件番号ですら平成4年のネですよ?」
 
太田「そうですねえ。このケースは奥さんがだいぶ離婚しない意思が固かったんでしょう。できれば有責配偶者からの離婚は調停か、一審の和解で終わらせたいですね。」
 
 
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