※LGBTに関する用語は年々増えていっており、理解が追い付かないという人も少なくないでしょう。そこで、今日はトランスジェンダーと性同一性障害の違いについて見ていきましょう。

 

Lちゃん「何となく同じものだと思っていましたが、違うんですか。」

 

太田「まず、トランスジェンダーというのは、心の性と体の性が一致していない状態のことを指します。」

 

Lちゃん「あれ？　それを性同一性障害と言うのではないですか？」

 

太田「違いますねえ。性同一性障害というのは、心の性と体の性が一致していなくて、それを外科的手術によって一致させることを望む状態をいうんです。なので、性同一性障害はトランスジェンダーに含まれるけど、トランスジェンダーだから性同一性障害とは限らないの。トランスジェンダーのほうがもっと広い概念です。」

 

Lちゃん「なるほど、そうだったんですね。今知りました！」

 

太田「トランスジェンダーの中には、性別適合手術を望まない方も多くいるのでね。このトランスジェンダーの中に、実はXジェンダーを含むんです。」

 

Lちゃん「あれ、また新しい概念が出てきました。Xジェンダーって何ですか？」

 

太田「心の性が男性・女性のいずれの性別にも合致しないと意識していることを指します。」

 

Lちゃん「あの～、今年の夏に、歌手の宇多田ヒカルさんがノンバイナリーだと公表しましたよね。Xジェンダーとノンバイナリーは違うんですか？」

 

 

宇多田ヒカルの「ノンバイナリー」告白って何？今さら聞けない新語の正体 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

 

 

太田「難しいんだけど、ノンバイナリーは性自認だけではなく、性表現にも男女の枠組みをあてはめないことを指していてね。これ、詳しく話し出すと長くなるから別の機会にしましょ。」

 

Lちゃん「あ、難しいんですね。じゃあ、Xジェンダーの話に戻してください。心の性が男性・女性のいずれでもないとはどういうことでしょう？」

 

太田「分類すると、中性・両性・不定性・無性の4タイプになるようです。前二者は分かるでしょ？　不定性というのは、性自認が流動的で、そのときによって男性だと思うときもあれば女性と思うときもあるという人を指します。横文字でジェンダーフルイドといったりもしてね。」

 

Lちゃん「では無性というのは・・・？」

 

太田「そもそも男女二つの性別が存在しているという認識が前提なのが前三者だけど、その認識がないのが無性ですね。」

 

Lちゃん「ちょっと感覚として分かりづらいのですが。」

 

太田「正直私もよく分からないのですよ。概念としては理解できるけど、当事者ではないので実感としては難しいよね。まあ、Xジェンダーにも色々なケースがあるんだということは理解してもらって、このXジェンダーもトランスジェンダーに含まれる、と。身体的に男性であるXジェンダーの人をMTX、身体的に女性であるXジェンダーの人をFTXと表記することもあります。MTF、FTMと同じ、Tはtoだね。」

 

Lちゃん「心の性が男女どちらでもないという人は、性別適合手術は受けないですよね。」

 

太田「どうなんでしょうねえ、そこはよく分からない。ただ手術であてはめるべき性別はないですよね。Xジェンダーの人も自分の男性・女性としての身体的特徴や生理現象が嫌だと感じている人はいるみたい。」

 

Lちゃん「とりあえず、トランスジェンダーのほうが大きな概念だということは分かりました。」

 

太田「付け加えると、性同一性障害のほうは医学用語ですが、トランスジェンダーは医学用語ではない。」

 

Lちゃん「ふむふむ。性同一性障害の場合は治療の対象ですもんね・・・って、どういう疾患になるんですかね。」

 

太田「長らく精神疾患だとされていたけど、2018年6月18日にWHOの公表したICD-11では、性同一性障害が精神疾患から外れ、『Conditions related to sexual health』（厚労省による仮訳は『性保健健康関連の病態』）』という分類項目に入る予定だそうです。ICD‐11は2022年に発効する予定ですねえ。」

 

Lちゃん「来年じゃないですか！　ちなみに性保健健康関連の病態って何ですか？」

 

太田「性機能不全や性疼痛症も含まれるカテゴリーのようですね。それで、今、性同一性障害と呼んでるけど、性別不合という呼び方に変わるんですよ。ICD‐11から、"Gender identity disorder(GID)"から"Gender incongruence(GI)"に表記が変わっていますからね。」

 

Lちゃん「ほへえ。何かと難しいですね・・・。」

 

太田「大事なのは、その人のことを性別云々で見るんじゃなく、まずは『人間』として見ることだと思いますよ。そうすれば細かい知識がなくても大きく間違うことはないはずです。性別にかかわる事柄は別だとしてもね。」

 

 

☆正直なところ私もまだまだ勉強途中です☆