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コラム
Column
離婚・男女問題

双方が有責である場合の離婚請求

※有責配偶者からの離婚請求は原則認められないというのが最高裁の考え方ですが、夫婦の双方に有責性がある場合はどうなのでしょう。
 
Lちゃん「例えばですけど、夫は妻に暴力をふるっていた、それで嫌気がさして妻が不貞したという場合、夫婦の双方が悪いと思うんですが、こういう場合の離婚請求って認められるんでしょうか。」
 
太田「まず結論からいうと、夫婦のどちらがより有責性が大きいかを判断し、離婚請求した側の有責性が小さいならば離婚請求を認め、逆に離婚請求をした側の有責性が大きいならば離婚請求を認めない、という傾向があります。もし、有責性が等しいなら、どちらも有責性がない事案と同様に考え、夫婦関係が破綻しているかどうかで判断されると考えます。」
 
Lちゃん「ああ、やっぱり。その辺は裁判所も一般人と同じような感覚なのですね。」
 
太田「ただね、これは私の感触なんだけど、有責性に関して裁判所は不貞>暴力と思っている節がある。私は同じくらいダメだと思うんですが・・・。」
 
Lちゃん「私なんか暴力のほうがダメだと思いますよ! 暴力、ダメ、ゼッタイ!!」
 
太田「そう考える人もたくさんいますよねえ。だけど、私の実感としては裁判所は不貞>暴力と考えているように思えるのよね。だからこれをもとに戦略を立てざるを得ない。」
 
Lちゃん「話を元に戻しますが、双方に有責性のある事案について、最高裁判例などはあるんですか?」
 
太田「まず有名なのは、昭和30年11月24日判決ですね。<原判決では被上告人側にもいくらかの落度は認められるが、上告人側により多大の落度があると認めているのである。かような場合に被上告人の離婚請求を認めても違法とはいえない。>としています。したがって、離婚請求した側に多少の有責性があったとしても、された側の有責性が大きいならば離婚請求が認められる、と。」
 
Lちゃん「ほうほう。」
 
太田「翌年の昭和31年12月11日判決では、夫婦の破綻について双方に同程度の責任がある場合には、双方からの離婚請求を認めるという判断をしています。ということで、離婚請求をする側の有責性のほうが大きい場合には、原則離婚請求が認められなくて、前に紹介した昭和62年判決の枠組みで判断されると考えていいです。」
 
Lちゃん「長期間の別居と、未成熟子の不存在と、あとは著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がない場合、でしたっけ?」
 
太田「よく覚えてますね。それを満たせば例外的に離婚請求が認められる、と。」
 
Lちゃん「ふむ。じゃあ、あれですね、さっきの先生の話と総合すると、双方に問題があろうが不貞した側が離婚請求するのであれば、裁判になったら請求棄却されるのが原則だから、調停までで終わらせたほうが良い、と。」
 
太田「私はそう思いますねえ。何か暴力夫VS不貞妻、で不貞妻が勝ったような最高裁判例でも出れば、それをバンバン使っていきたいのですが・・・。」
 
 
☆夫婦の双方に有責性がある場合の離婚についても☆